なぜ、お墓をつくるのか
「なぜ、お墓をつくるのか」
五輪塔が由来
浄土宗、臨済宗、曹洞宗、日蓮宗、浄土真宗、時宗が誕生する以前の平安後期の時代には既に五輪塔が造塔されていました。五輪塔は密教でいう宇宙を構成する5つの要素である地・水・火・風・空の五大を表わし『理』の世界を表す胎蔵界、『智』の世界を表す金剛界の両界の大日如来の姿を表現しています。
大日如来へ導く五輪塔供養
大日如来は仏が住む仏国土の中心におられます。その四方には如来が住む浄土があり更にその周りには菩薩が住むあまたの浄土があります。亡くなった人を五輪塔に埋葬して供養するということは死者を大日如来と同じ境地におくことになり、成仏した魂が望み願う浄土で往生することを叶えます。
古くから五輪塔はお墓の主流
五輪塔がお墓の主流として650年もの長い間続いたのは、ご先祖様の安らぎを願い生者が(子孫)手を合わせお参りすることによって、先祖様は成仏し望んだ浄土での永遠の安らぎが叶えられます。安らぎを得た御先祖様からは様々な御利益がもたらされてきたからでしょう。
しかし製作に石工の高度な技術を要した五輪塔は江戸時代のある時期から贅沢品とみなされ(奢侈禁止令の対象)以降一般的に使われることが少なくなりました。
現在も愛される五輪塔
現在のお墓には様々な形がありますがお墓はお骨を埋葬するためだけの施設ではなく、魂を浄土に往生させるために必要な場所であり、ご先祖様からご利益を頂く場所なのです。そして五輪塔は日本仏教の思想と形式から生まれたお墓の横綱です。